コラム

「圧着はがき」誕生物語

  • 弊社が世界で初めて開発した圧着はがき「POSTEX」。その仕組みは感圧接着技術を応用したものでした。

今では当たり前のように家に届く「圧着はがき」。通常のはがきと同じ郵送料ながら、貼られた部分をはがすと通常のはがきの2~3倍の情報量を掲載できるだけでなく、他人に見られたくない情報を郵送中隠ぺいしておけるとあって、さまざまな通知物に使われています。

その圧着はがきを世界で初めて開発したのが、トッパン・ムーア株式会社(現TOPPANエッジ株式会社)です。


圧着はがきの仕組み

1991年に登場した圧着はがき「POSTEX」。その仕組みは、弊社が開発した感圧接着技術を応用したものでした。

圧力をかけると接着する特殊な糊を塗布した専用用紙。これをドライシーラーと呼ばれる装置にかけることで、再剝離可能な圧着はがきが完成します。非常に強い圧力が必要なため、一度開封するとドライシーラーなどで再処理しなければ再接着はできません。

「POSTEX」の用紙は、でんぷんやシリカなどの微細粒子を接着剤に入れることで、塗布した表面を凸凹に仕上げています。この凸凹は、通常の取り扱いにおいてはブロッキング(紙同士の接着)を発生させない役目を持っています。重ね合わせてから非常に強い圧力を加えることでこの凸凹の下にある接着成分が表面に出てきて、紙同士が接着します。

圧力をかける機械“シーラー”と“糊”の技術が組み合わさり、「付く」と「剥がせる」という二律背反を乗り越えた「圧着はがき」を生み出しました。



「POSTEX」開発の背景

それまでは熱を加えることで接着する糊を活用したシーリングフォームが、電話料金の請求書などで活用されていました。ところが、コンピューターの普及とともにプリンターも進化し、ノンインパクトプリンター(熱ロールでトナーを定着させる)が登場すると、ヒートシーリング方式は出番を失っていきました。

弊社では新たなシーリング方法として、切手のように再湿糊を使うウエットシーリング方式と、圧力をかけて貼り合わせるドライシーリング方式に着目。検討を進めていく中で、ドライシーリング方式に焦点を絞ることになりました。

サンプルイメージ

そして、機械の開発と糊の開発双方が力を合わせることで生まれたのが、圧着はがき「POSTEX」です。

※「POSTEX」は、POST(郵便)+EXPANSION(拡張)の造語で、TOPPANエッジの登録商標です。

1980年代後半、ワープロが普及し始めると、作業効率化として「通知物の宛名書きを宛名ラベルで代用したい」という市場ニーズが高まっていました。1988年、郵政省が「全面接着のものならはがきにラベルを貼ってよい」とする郵便法の改正を行い、個人情報を隠す隠ぺいラベルなどの使用も認められるようになりました。

内国郵便約款では、通常はがきは全体の重量が2グラム以上6グラム以内という制限があります。郵便法上のこの条件もクリアし、全国の郵政局や主要郵便局へも確認を取り、晴れて1991年4月に通常はがきとして差し出せる圧着はがき「POSTEX」は発売されました。

1989年4月時点の郵便料金は、封書(第一種定形)62円、通常はがき(第二種)41円。その差は21円/通と今も変わりませんが、バブル崩壊の局面を迎え、景気が低迷していた時世に、この郵便コスト削減の切り札は市場から大きな注目を集めました。

最初の大口案件は生損保業界の控除証明書など。そこからクレジットカード会社など金融機関や、官公庁、地方自治体など、公的な役割を持つ民間企業でも幅広く採用されていきました。

1975年以前 感圧接着技術の開発に着手
1987年 「POSTEX」の前身、圧力で接着する三つ折り封筒「NIPシーリングフォーム」を製品化
1988年 郵便規制の改正(はがきに全面接着でラベルを貼付することが可能になる)
1991年 接着・剝離可能な親展性圧着はがき「POSTEX」の製品化に成功
1996年 先糊方式の「POSTEX」の基本特許を取得
1999年 光沢のある疑似接着ニス方式の「POSTEXⅢ」製品化
2014年 パーソナル印字などの要望に応えて新たに後糊方式の「POSTEX-i」スタート



現在の圧着はがき

圧着はがきが普及した現在では、お客さまのニーズや用途に合わせ、糊や用紙、形状などさまざまなバリエーションを展開しています。

POSTEX-i(水系後糊圧着はがき)

事前に糊が塗布された用紙を使うPOSTEXとは異なり、製造時の圧着工程で再剝離可能な水系接着剤を塗布しながら圧着加工をします。そのためデザイン制約も少なく、表裏フルカラーバリアブル(可変)印刷に対応。「FSC ®認証 POSTEX-i」ならCSR対策にもつながります。

郵便はがきとして最大の情報量が掲載できる8面分タイプも活用されています。

POSTEXⅢ(UVニス方式)

こちらもデザイン制約が少ない後糊方式で、ニスによる光沢感がDMに最適です。

耐水POSTEX

POSTEX用紙にさらに耐水性を持たせ、水にぬれても破れにくい圧着はがき。請求書や督促状、契約変更届など、流通業界さまや自治体さま、金融業界さまをはじめとしたさまざまな業種の重要通知物にご活用いただいています。

圧着はがきのパイオニアであるTOPPANエッジは、POSTEX用紙や圧着機器シーラーの開発、その保守まですべてを担うことのできる唯一のメーカーであり、今も新たなニーズに対応する製品開発に取り組んでいます。

圧着はがきの印刷加工や帳票設計・紙面デザインだけでなく、これまでの開発で得られた知見や豊富な実績を基にした最適なご提案が可能です。通知物そのものだけでなく、"通知業務"のお悩みはメーリングツールのリーディングカンパニーである弊社へ、ぜひご相談ください。

2022.10.04

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