コラム

就業規則の周知義務-従業員に周知を徹底するポイントとは?

常時10人以上の従業員を雇用している企業は、労働基準法の定めにより就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。この就業規則は、従業員の労働条件や守るべき社内のルールを定めたものですが、作成して届け出ればそれで終わりではありません。従業員に就業規則を周知するのが、使用者の義務となっているのです。

今回は就業規則の概要から周知しなかった場合に起きる弊害、周知のポイントなどについて解説していきます。


就業規則の周知義務とは?

常時10人以上の従業員を雇用している企業には、就業規則の作成・届け出の義務と従業員への周知義務(従業員全員に内容を知らせる義務)が課されています。まずは簡単に就業規則の概要を確認し、その周知義務についても確認していきましょう。

就業規則とは

就業規則とは、従業員(労働者)の給与規程や労働時間、休日といった労働条件、従業員が守るべき社内のルール、罰則などをまとめた規則集です。
このような就業規則は、従業員を常時10人以上雇用している企業では作成する義務があり、作成した就業規則は所管の労働基準監督署に届け出ることが義務づけられています。例えば、繁忙期にのみアルバイトやパートを増員して10人を超えるようなケースは該当しませんが、社内の規律や従業員とのトラブルを避けるためにも、就業規則は作成しておく方がよいでしょう。

就業規則には、労働基準法で定められた周知義務(労働基準法106条 法令等の周知義務)もあります。作成して届け出ただけでは不十分なのです。就業規則の周知が必要とされる対象には、正規従業員だけではなく、パートやアルバイトなどの非正規従業員も含まれます。就業規則は「確認できる場所に掲示」、「書面で交付」、「データで共有」のいずれかの方法で周知することが法律やその施行規則で定められているので、作成、届け出後には速やかに周知の手段を講じる必要があります。このような就業規則の周知を怠った場合、法律違反による罰金が科せられる他、事業運営上の弊害も起こり得ます。次章では、周知が十分になされなかった場合の弊害について見ていきましょう。



就業規則を周知しないとどうなる?

就業規則の周知ができておらず、それが問題となった場合には管轄の労働基準監督署から指導や是正勧告を受ける可能性があります。周知の不徹底が故意であったり悪質であったりした場合には、30万円以下の罰金(労働基準法120条 罰則)が科されることもあるので注意が必要です。また、このような問題が起きれば、取引先との関係悪化や従業員の定着率低下、新規人材の採用効率などにも影響を与えます。就業規則の公平な運用と従業員を大切にする姿勢は、企業を取り巻くステークホルダー(株主や従業員、顧客、取引先、金融機関、行政機関など)からの信頼感を向上させるものでもあるのです。

では、就業規則の周知にはどのような効果があるのでしょうか?

就業規則周知の効果

・社内の秩序維持
就業規則を周知して、従業員一人ひとりがルールを理解することにより社内に秩序が生まれます。良好な秩序を維持することは、安定的な経営につながります。

・労使のトラブル防止
労働条件や給与の額、賞罰などをあらかじめ労使間で取り決めておくことにより、無用なトラブルを防止できます。

・従業員の意欲向上、離職率の低減
労働条件を明確に定め、これを周知しておくことにより、従業員は安心して働くことができます。安心・安全な職場環境は、従業員の離職も防ぎます。

・業務効率の向上
安心して働ける環境は、業務効率を向上させます。また、規則によって業務手順などが明示されていれば無駄な作業を省くことができ、これも業務の効率を向上させます。

・不正防止
就業規則には明確に罰則を規定し、法律違反や倫理上の違反など、やってはいけないことを明らかにしておかなければなりません。これらを周知しておくことにより、不正の抑止効果が生まれます。

従業員に周知されていない就業規則は無効になる可能性もある

上記のような効果のある就業規則の周知は、従業員全員に確実に知らされなければ意味がありません。また、一度したからといってそれ以降周知をしなくてよいわけでもありません。例えば万が一、社内で不正行為が行われた場合ですが、従業員が正しいルールを理解しておらず、その原因が就業規則の周知不足にあったとなれば、使用者が責任を問われることにもなりかねないのです。

就業規則は、いつでも従業員が確認できるようにしておかなければ無効になる場合もあります。特に、外部環境の変化や経営環境の悪化によって、労働条件や給与規程の変更が行われた場合は注意が必要です。

不利益変更

さまざまな経営環境の変化(ほとんどの場合は悪化)によって、給与の減額や手当の廃止、労働日数や休日の変更など、労働者の不利となる規則の変更が行われることを「不利益変更」と言います。
就業規則の変更をこのような理由によって行った場合、その変更内容について周知が徹底されていなければ無効となってしまう場合があります。通常、就業規則の変更の場合は、所轄の労働基準監督署に「就業規則(変更)届」と労使が合意した「意見書」を提出しなければなりませんが、その手続きをしただけでは不十分なのです。



就業規則を正しく周知するためのポイント

先述のように就業規則は、「確認できる場所に掲示」、「書面で交付」、「データで共有」の、いずれかの方法で従業員に周知しなければなりません(労働基準法 106条1項、労働基準法施行規則52条の2)。

・確認できる場所に掲示
社内の見やすい場所に常時掲示するか、いつでも従業員が見られるように冊子にして備え付けておく方法です。ただし、このように紙で就業規則を管理していると、事業所がいくつもある場合には変更内容の食い違いが起きやすい、バージョン管理が難しいなどといった面もあります。

・書面で配布
就業規則を印刷し、一人ひとりの従業員に配布する方法です。この方法では周知を確実に行えるものの、バージョン管理が難しいことや印刷代や紙代などのコストがかかる点がデメリットになります。また、社外に容易に持ち出せるので、情報漏えいを含むセキュリティ上の問題も無視できません。

・データで共有
「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する」と定められていますが(労働基準法施行規則52条の2)、現実的には社内のファイルサーバーやグループウエアで電子的に情報を共有する方法です。この方法であればデータを一元管理できるので、バージョン管理の問題やセキュリティの問題は容易に解決できます。また現在のようなテレワークの多い環境であっても、クラウド対応のシステムを導入することによって、従業員はいつでも、どこからでも就業規則を閲覧することができます。

このような就業規則のデータ管理には、規程管理システムが最適です。弊社の提供する規程管理システム「DocLAN(ドックラン)」であれば、以下のようなメリットがあります。

・クラウドでシステム運用。いつでもどこからでも、在宅勤務中の従業員でも就業規則を閲覧可能
・新旧差分表示機能があり改訂前と改訂後を容易に確認可能
・規程の登録、改訂、廃棄を一元管理。バージョン管理も容易
・優れた検索機能で目的の規程をすぐ探せる
・高いセキュリティを実装
・クラウドなので導入までの期間も短い



まとめ:就業規則など、規程類の管理には規程管理システムがおすすめ

規程は作成当時の内容だけでなく、改訂された内容についても確実に従業員に周知する必要があります。改訂内容を見やすく、そしてすぐに確認できるように工夫するのは、法律順守のためにはもちろんですが、内部統制の強化にも必須の事項です。就業規則など規程類の管理には、規程類が一元管理しやすく、従業員も閲覧しやすい規程管理システムの導入がおすすめです。


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・コンプライアンス違反の防止、内部統制強化に取り組みたい



社内インタビュー

2022.12.15

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